町の人々

親子3代で古典芸能を伝え続ける 親子3代で古典芸能を伝え続ける

親子3代で古典芸能を伝え続ける

播磨 ももさん 沙弥さん[職業:芸妓さん]|小浜西組

ももさん:料亭播磨は昭和56年に開業し、母と祖母、祖母の姉が芸妓として店を切り盛りし、現在は女将である母とともに親子3代で営業を続けています。

 今でこそ家業を継いでいますが、学生の頃、日本舞踊や三味線には興味がなく、子どもの頃から保育士になることを夢見ていました。夢を叶えるために高校卒業後は兵庫県にある保育の専門学校に進学し、卒業後は小浜で保育士として4年間仕事をしていました。

 また、人生いろいろありまして、芸妓になるための踊りのお稽古や三味線のお稽古を始めて、今も日々精進しています。

沙弥さん:私は中学まで小浜で過ごし、子どもの頃から母や祖母が働いている姿を見ていて、芸妓さんになりたいと思っていました。
 10歳の時に開催された2分の1成人式で自分の夢を発表する機会があったのですが、周りが芸妓という仕事を知らないこともあり、芸妓になりたいとは言わず、卒業式の時にようやく胸を張って芸妓になるという夢を発表したことを覚えています。

 中学3年生の時には京都のお茶屋さんに数日滞在し、舞妓さんの仕事を体験。この体験をきっかけに舞妓さんを目指す決心がつきました。私は中学3年生の冬休みから京都に修行し、2015年にデビュー。京都の宮川町のお茶屋で6年間勤め、小浜に帰ってきました。

 

ももさん:主な仕事はホテルなどでお客さまに料理やお酒などを提供し、三味線を弾いたりしています。この仕事を通じてさまざまな人と出会うことができるという点は非常にやりがいに感じています。

 

沙弥さん:私も母と同様にお客さまに素敵な時間だったと思っていただけるよう接客をおこなっています。

 また、現在も1ヶ月に数回は京都でお稽古を受けて、芸に磨きをかけています。お客さまが喜んでくれた時に、お稽古の成果を出せたのだと感じることができ、やる気につながっています。

ももさん:この町と関わるようになったのは生まれ育ったからというのもありますが、三丁町バザールなど地区のイベントが開催されるようになったことも大きく関係していると思います。

 より密に町と関わるようになってから魅力を再発見できました。水や食べ物がおいしいし、山や海が近くて非常に自然に恵まれています。また、ご近所との付き合いも顔がわかる関係性で、非常に親しみやすいです。私はこれこそが小浜の良さではないかと感じています。

 人付き合いの観点で言うと、仕事柄もあるかもしれませんがさまざまな仕事の方とお会いすることが多く、一つひとつの出会いを私は大切にしています。

 20204月からは週末と祝日に限り、ランチでそばの提供をスタート。お昼の営業を始めたことで、イベントにも参加する機会が増え、夜の営業では出会うことができなかった方達とも出会うことが増え、さらにつながりの幅が増えました。

 

 

一つひとつの出会いを町に還元する

ももさん:2022年には小浜市が子どもたちを対象に働くことの意義や喜びを知ってもらおうと取り組んでいる「ふるさと仕事塾」に参加。小浜第二中学校を訪問し、舞妓や芸妓という仕事について話すことができました。私たちの仕事は多くの子どもたちにとって身近ではないので、どう説明するかが難しかったですが、話を聞いて少しでも興味を持つきっかけづくりにはなれたかなと思っています。

 

 より私は町の取り組みに関わり、色々な方と接するようになってから自分ができることが見えてきました。

 何か新たなことをしようとした時、私一人ではなし得ないですが、私たちだからこそできることもあると気づくことができました。それは親子3代で1件のお茶屋を経営しているということです。

 先ほども話ましたが、この仕事をしているからこそ出会うことができる人もいます。このつながりを大切にすることで、町に還元できることもあるはずです。

 一方で課題も見えてきました。私はこの町で生まれ育ってきましたが、自分たちの力だけで町に活気をもたらすことは難しくなってくるのではないかと思っています。小浜は色々な場所から移住している方も多くいる町なので、そういった方々と共に動くことでできないと思っていたことも実現できるはずです。

 例えば、インバウンド事業。京都は花街と呼ばれる場所がいくつかありますが、舞妓や芸妓といった日本の文化に触れたいと思う外国の方が多く訪れています。こういったインバウンド向けの事業を作ることだって私一人では難しいですが、色々な方と共に動くことでできると思います。

 

 色々な人たちに町の魅力を伝えることで、より活気のある町づくりができ、また、伝統芸能の魅力を幅広い世代に知ってもらうことで、舞妓や芸妓に憧れを持つ人が増えることを期待しています。そして、後継者を育てていきたいという思いがあります。いずれは小浜に1件しかないお茶屋が2件、3件と増えていくことを願い、これからも親子共々、町のために尽力していきたいです。

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