町の人々

“なつかしい未来”を目指して “なつかしい未来”を目指して

“なつかしい未来”を目指して

上中 雄一郎さん[職業:大工]|小浜西組

小浜の隣、名田庄で生まれ、父や祖父が大工だったこともあり、建築(ものづくり)は、子どもの頃から身近な存在でした。
その為、自然な流れで高校卒業後は建築系の短期大学へと進学しました。卒業後は石川県金沢市で店舗設計の仕事をし、24歳の時に名田庄に戻り父親の経営する工務店で大工として働き始めました。
10年ほど大工として現場の仕事をしていましたが、設計や現場管理などを担当するようになり、現在は会社の代表を務めています。
住宅の新築やリフォームのほか、古民家再生なども請け負っています。

 

 

想像以上

ウチは住宅展示場を持つ大手ハウスメーカーと違って地域の工務店なので、お客様の好みや使い勝手などをヒアリングしながら、時間をかけて共に家づくりを進めていきます。
最近はインターネットなどイメージを伝えるツールがあるので、お客様の好みを掴みやすくなりましたが、まだまだ完成してみないと分からないこともあります。
だからこそ新築やリフォームの仕事を終え、お客様から「想像していた以上に良いものが出来た」と言われたときはプロとして非常にうれしい瞬間です。
感謝や驚きの言葉は、一生懸命取り組んできたことが報われ、次の仕事のモチベーションにつながります。

 

 

歩いて楽しめるまち

私が西組と接点を持つようになったのは、町家を活用した青年会議所のイベント「町家deフェスタ」の開催がきっかけです。
様々なお店の方に町家に出店頂き、沢山の方お客さんに来ていただいて賑やかで楽しい時間を過ごして頂きました。
小浜の方でも「西組」や「三丁町」を知らない方もいて「小浜にこんな素敵な場所があったんや」との声もありました。
車で通り過ぎてしまっては見落としてしまうまちの良さを、歩いてもらうことで感じてもらえたと思います。
この「町家deフェスタ」は現在、住民が主体の「三丁町バザール」として年数回開催され、人気のイベントとして定着しています。
イベントを通じて、このまちに関心を持って、住んでみたい、お店を開いてみたいという方が増えたらいいなと思います。
また、小浜には歩いて散策できるような場所が少ないので、この場所が観光客にも地元の人にも歩いて楽しめる場所となると良いと思いますし、そうなるよう色々な方と協力して盛り上げていきたいです。

 

 

なつかしい未来”を目指して

小浜西組は、地割が丹後街道を中心に商家町・茶屋町・寺町で構成され、近世城下町の街路や地割りをよく留めているとして重要伝統的建造物群保存地区に選定されています。
「ベンガラ格子が灯る町」を掲げ、“町には人が住んでこそ”の想いで制定したマスタープランを、西組街並み協議会が10周年を迎えた2018年に見直しました。
そしてスローガンはそのままに、新たに「なつかしい未来を目指して」とサブタイトルを付け加えました。
近年は希薄になってしまった人と人のつながりが、この西組にはまだまだ色濃く残っています。
毎年行われる放生祭りや、地蔵盆などの地域行事を通じての世代間の繋がり、家と家が密着しているからこそ生まれるお互いを気遣う心。
そんな、人が人から学び長い時間をかけて築き上げてきた「まちの宝」をもう一度見つめ直し、今の時代に合った形でよみがえらせることが出来れば、住む人が誇れる“なつかしい未来”を築いていけると思います。

Profile

Profile

昭和48年2月おおい町(旧名田庄村)生まれ。
平成28年小浜飛鳥地区の町家(重伝建)を修理し家族で移住、
小浜西組町並み協議会では活性化委員長をしている。